初めてのキャンパーの旅 2013年4月26日

4月26日出発。
目的地はとりあえず帯広方面。
今後の長期旅行のための実験を兼ねる。

車の中でラジオの身の上相談を聴いていると57歳の旦那が、妻が私を侮辱する事を言うのでずっと口をきいていないのですが今後どうしたら良いでしょうか?という相談があった。

それで相談員がどういう言葉で侮辱するのですか?と聞いたら、「おんどりゃ〜!!」とか「男のくせにぺらぺら口っ喋りやがって!」とか言われると言うので笑ってしまったのだが、それなら「何を〜?!このめんどりゃ〜!!」とか言い返してやればいいのにと純子と話していたのだが、どうもこの夫婦は男女の性格が逆だったら良かったのかなあと思った。

それ以来この旅では何かにつけて「おんどりゃー!」が二人の流行語になった。
旅に出る前にぴぴは卵を腹に持っているらしく心配をしていた。
その日の夜音更の道の駅にあと数キロという所で、ぴぴがどうにも我慢できないという風に叫びだして途方に暮れた。

後から思えば卵を産みたいのだが車の振動で産めなかったのだと思うのだが、その時はどうしてそんなに鳴き喚くのかと途方に暮れた。
何とか道の駅にたどり着いたらぴぴも陣痛が治まったのかおとなしくなり、其処で一泊した。

翌朝起きたら純子がぴぴの夢を見たと言う。
何でもぴぴが籠の中でぐったりしているので、慌てて掌に乗せると嘴が人の口になってきていて、身体も羽根が無くなって人の肌になってきていたという。

まるでポニョの様な小さな赤ちゃんで、可哀相で心配で水を飲ませてあげようと思い、俺に声をかけたら眠っていて「全く役立たずだね!!」と腹を立てたと言うのだ。
あの時「おんどりゃー!!」って怒鳴ってやれば良かったと言う。

俺のあずかり知らぬ純子の夢の中の出来事に勝手に腹を立てられて、朝起きたら突然

「あんた今のうちに謝っていた方が良いよ!」

とぷんすかぷんと口を尖らせ、あさっての方を向いて言われ困惑してしまうのは良くある事なのだ。

26日は十勝川温泉の「かんぽの湯」に入った。
前日は小樽の朝里川温泉の「かんぽの湯」に入ったので二日続きだ。

十勝川温泉に向かう道路で200系ハイエースベースのアネックスのリバティというキャンピングカーとすれ違ったら、運転しているおっさんが満面の笑みで掌をぱーにして手を振ってくるのであわててこちらも手を振った。

まるで旧知の友人に久しぶりに出合ったかのような笑顔で、これが車で無く路上で出会ったのなら飛びつかれてハグされそうな勢いで、車で良かったなあと胸をなで下ろす。

5月になろうとしているのに雨が降っている上に寒く「なめとんのか!おんどりゃー!」と言いながら車を降りる。
やはり天候の所為かあまり客は居ないようだった。

丁度お風呂の日とかいうことで、通常大人一人500円のところがこの日は400円だった。
朝里川に比べて十勝川の「かんぽの湯」は建物も風呂自体もずっと綺麗だ。
備え付けられているシャンプーやボディソープ等も種類が多い。

お湯が熱くて足先が痺れるように暖まる。
満足して風呂を出て音更の道の駅に向かったのだが、その時にぴぴが陣痛で大騒ぎしたのだ。
道の駅に着きエンジンを止めたら、たちまちおとなしくなってしまった。

夜はやることもないから当然酒盛りとなる。
ハイエースの時はトイレの傍に駐車するようにしていたが、車にトイレがあるのでその必要はない。
大は公衆トイレでやり、小は車ですることにしている。

するとパジャマで過ごせるから身体が楽だ。
トイレに座ると左右に大きな丸い突起物がある。
右のボッチを押すと水が溜まる。
用を足した後ボッチを左にひねると水が流れトイレの底の弁が開き、ブラックタンクに排水される。

左のボッチを引っこ抜くとトイレットペーパーが収まっている。
ここはシャワー室にもなっているので水で濡れないよう格納されているのだ。

二泊三日の旅だったが結局最後はブラックタンクが満タンになってしまい、洗浄用の水も無くなってしまった。
酒飲んでいるから結構な量になるようだ。
次回は補給のためのじょうろも用意し、タンクもマメに処理しよう。

今回はエアコンを使わないから発電機を持って行かなかったが、テストも兼ねて持って行くべきだった。
ディーゼルエンジンだから十分走行充電は出来るのだが、夜間冷蔵庫やテレビ、FFヒーター等を使用すると、かなりバッテリーの残量が少なくなる。

とにかく寒かったのでFFヒーターは焚きっぱなしにした。
その上で布団と毛布を被って寝たので汗ばむほどだった。

ぴぴは1,2時間走ったら休みを取ってあげないと文句を言い出す。
やはり振動と騒音で疲れるらしい。
俺自身もかなり疲れた。

ハイエースは130馬力あったからパワー不足を感じたことはなかったが、この車は90馬力そこそこで、水タンク満タン、色々な荷物を積んでいるから峠などはかなり苦しい。



4月27日

帯広に行く時にはKYOHEY君の所に寄ろうと思っていた。
以前我が家に遊びに来たときにグーグルアースで移住先の場所を登録してはあったのだが、住所が分からない。
本別と足寄の間辺りだというのは分かった。

電話をかけて住所を聞いたが、ナビに打ち込もうとしてもそんな田舎の住所は出てこない。
とりあえず本別町をナビの目的地に打ち込んだのだが、この安物のナビの通りに走ったらこういう事が無ければ一生通ることの無いと思われる回り道をさせられた。

それで

「おんどりゃー!!そらハワイ回ったって何れは着くだろうが、普通最短距離だろうが!この嘘つき女」

と罵りながら田舎道を延々と走る。

ようやくのこと人家が見え始め、やがて本別のJR駅と道の駅を兼ねた建物にたどり着いたが朝早すぎて開いていなかった。
道路標識を頼りに走り始めたが段々と家もまばらな場所になってきて、本当にこの道で良いのだろうかと不安になってくる。

それで電話をかけて聞いたら郵便局の前まで迎えに来てくれることになった。
ナビで周辺の郵便局を探してみるともう少し先の方らしい。

ずっと走って行くと彼方に郵便局の建物が見えてきて、人が手を振っているのが見えた。
KYOHEY君と桂子ちゃんだ。
およそ一年ぶりの再会で、二人とも無邪気な赤ん坊の様な笑顔で迎えてくれた。

移住した一軒家は元小学校の校長が住んでいた所で、元はグラウンドだったと思われる空き地の向こうに廃校になった小学校の建物が建っている。
又近くにはその名も「僻地幼稚園」という、やけくそになって命名したとしか思えない廃園になった幼稚園の建物もあった。

冬の間はマイナス20度を超える日があり、窓の外ではダイヤモンドダストが舞いそれは綺麗だったそうだが、俺はいい。
あの家の造りではさぞかし寒かったことだろう。
やっぱり薪ストーブで無ければ。

6月には新得に再移住するそうで、今は石油タンクに必要な分だけポリタンクで入れているらしい。
仕事は決まっているのか聞くと

「何でもやる覚悟があればなんとかなるっす」

と言っていた。
一年間何とかなったのだから新得でも何とかなるだろう。

新得での再会を約束して帰り際桂子ちゃんが遠慮がちに、本別の図書館で描いた絵の展示をしているので良かったら見て欲しいと言う。
桂子ちゃんが絵の仕事をしているのは知っていたが、どんな絵を描いて居るのかは知らなかったので図書館に寄ってみた。

桂子ちゃんは鱗のある生き物が好きらしく、トカゲや蛇、魚をモチーフにした絵を描いていた。
人柄が良く出ている可愛らしいほのぼのとした絵で、次回のどんぐり村祭りのポスターに使わせて貰おうかな。





本別を出発し足寄に行く。
昔池北線と言うのが池田町と北見市を結んでおり、一度乗ったことがある。
その後ふるさと銀河線になったが2006年に廃線になった。。

道の駅の隣に足寄駅の建物が残っている。
足寄というと松山千春と鈴木宗男だが、二人とも嫌いなのでとっとと出発。
千春は歌だけ歌っていれば良いのだ。
足寄から帯広方面に戻るつもりが、どういう訳か北見方面に向かってしまった。

鉄道の軌道に平行して走ったが、レールが撤去されている部分とそのまま残っている部分があるのは何故だろう。
途中で撤去資金が底をついたか。

陸別と言うと冬の寒さで有名だ。
崩れ落ちた廃屋をよく見かけたが、住みたくないなあ。
家の敷地には薪が積み上げられていて、それだけはうらやましい。

午後2時頃には温根湯に到着した。
ぴぴの事を思い早めに宿泊することにして、その前に塩別まで走って「つるつる温泉」に入る事にする。

連休初日だけあって温泉は人が多かった。
昨年来たときは大浴場に入ったのだが、昔に比べお湯がつるつるしていなかった。
昔の記憶によれば足が滑って転倒する危険が有りそうなほどつるつるだったのだが。

同じように感じていた客が地元の人と話していて、それによると大浴場ではなく「龍神の湯」というこじんまりした浴槽があって、そちらは昔ながらの泉質らしい。
それで今回は「龍神の湯」の方に入ってみた。

みんな大浴場に行っているらしく客は誰も居ない。
湯は少しぬるかったが確かにつるつるしている。
ゆったり湯に浸かり疲れを癒して温根湯の道の駅に引き返し車中泊。

三時過ぎにはもう酒盛りをやっていたが、ぴぴの様子がどうもおかしい。
止まり木の上で嘴を細かく動かしながら何かつぶやいている。
羽根を異様に膨らませて震えている。
寒いのかと思ったが十分温度は上がっている。

そのうちお尻から大きなフンが落ちたと思ったら卵で、割れて黄身が出ている。
卵詰まりを心配していたのでほっとする。

雪が降り風が吹き始めた。
段々酷くなり雪景色になる。
駐車場には北見ナンバーのZILが一台、その向こうに大型バスくらいのサイズのJAYROが停まっている。

朝起きると道路は路面が出ているが他は雪が積もっている。
オホーツク海側はゴールデンウィークでもこんな気候なのだろうか。

石北峠を通って帰るか、遠軽から丸瀬布の高速道路を通るか迷ったが、石北を通ることにした。
道路情報では冬タイヤでは走れないということだったが、年月は経っているとはいえスタッドレスタイヤなので大丈夫だろう。

峠を登るにつれ路面が白くなってきて頂上付近では完全に圧雪になっていた。
しかしタイヤは雪をしっかり嚼んでいて、スピードを出さなければ安全に走行できた。
どのみち登りはパワーが無いからスピードが出ないのだが。

何となく日勝峠の方が標高が高い気がしていたのだが、実は石北峠の方がわずかながら高いらしい。
そこを登れたのだから大体の峠は越えられるだろう。

峠を越え路面の雪も無くなってきて9時前に旭川市に入る。
今回は東神楽の姉の所には寄らない。
旭川から層雲峡を抜け、深川から高速に乗り留萌、増毛へ。

国稀酒造で「暑寒別の伏流水」を汲み、寿司、居酒屋の「忠」で昼食。
前回と同じ中生を頼んだが相変わらず美味しい。
120キロの距離を走り続け自宅に到着。

全走行距離830キロ。
次回は発電機、トイレの水補給用のじょうろ、携帯やカメラ類の充電器を持って行く。
外部にゴミ箱をくくりつけておく必要あり。
テーブルタップも必要だ。

休憩はこまめに取り、ぴぴにストレスを与えない。