恵山へ 2013年6月29日〜6月30日
2013年06月29日00:40
何故か今 黒松内の道の駅で車中泊中。
長万部のカニ祭りでカニを食べようと純子が言うので金曜日に出立してみたが、二人とも勘違いをしていてカニ祭りは日曜なのに、何故か明日のように思っていた。
したがって2泊する事になって、時間はたっぷりあるので余市を通り京極のふきだし公園の駐車場脇の「眺羊亭」のジンギスカンを食べ、温泉に入ろうということになった。
「眺羊亭」のジンギスカンはなかなか美味しいのだ。
ところが着いてみると土日しかやっていないということで、しかたなく水を汲み京極温泉に入る。
ここの露天風呂からは正面に羊蹄山を見上げることが出来るのだが、あいにく曇っていて裾野の方しか見えない。
今年は雪解けが遅かったため、いまだに雪渓が残っていて谷に沿って白い筋になっている。
風呂を上がり食堂で俺はいつものごとくしょうゆラーメン、純子は山菜そばを注文する。
好みがあるからなんとも言えないが、ここのラーメンは美味しかった。
食堂の裏手は競馬場とパークゴルフ場になっているみたいだ。
そこの駐車場にはバストナーのフルコンが1台停まっていた。
ここに来るまでに何台かのキャンピングカーにすれ違ったが、どうも手を挙げて挨拶をするのが慣わしらしい。
純子は
「良いかい すれ違ったらちゃんと手を振るんだよ 振らなかったら後でブログで『手を振らなかった無礼な奴が居た』って書かれるかもしれないからね」
と準備万端待ち構えていて、キャンピングカーにすれ違うたび美智子妃殿下のように笑顔で上品に手を振っていた、、、らしい。
すれ違いざま見ると現役を引退した夫婦らしき人達ばかりだ。
われわれもそうだが、現役中はなかなか長期の休暇を取るのが大変だ。
キャンピングカーとはいうが、キャンプするために使用するのは若い人たちで、我々年寄りには生活をしながら旅をする道具だ。
すれ違う瞬間に
「ああ、やっぱり同じような思いで旅をしているんだろうなあ」という親近感を感じるのは確かだ。
子供を育て終え、仕事も引退し、残った夫婦二人で旅をしている。
そのためには二人とも同じような価値観を共有していなければならない。
ネットで見かけたエピソード
とある道の駅のトイレで声をかけたキャンピングカーの奥さんがいうには
「主人の趣味に付き合って旅をしてますけど、本当は嫌で一人で帰ってしまいたいんです。」
中には本当に一人で飛行機に乗って家に帰ってしまう奥さんも居るらしい。
2013年06月30日01:37
森町の高台の海が見える公園の駐車場で車中泊中。
もう少し札幌寄りに道の駅があるが、函館から来る途中で見かけたこちらのほうが停泊によさそうなのでわざわざ引き返してきた。
トイレの脇の草地にもう一台車中泊中。
車の外で中年男がひとりジンギスカンをやっていた。
仕事なのか旅なのか。
今は睡眠中だろう。
函館札幌間のメインの道路ではないため、道路に面していてもほとんど車が通らず静かだ。
噴火湾に夕日が沈むのが見え、闇になるとイカ釣りの漁船の灯りが沖にいくつか明るく光っている。
明滅しているのは途中見てきた恵山の灯台の灯りか。
昨日は6時に黒松内の道の駅を出発し長万部を通りすぎ、噴火湾の長く単調な海岸線を延々と走り函館、恵山、南茅部、森へとやってきた。
恵山の道の駅の隣の食堂でホテル「恵風」の温泉が良いと聞き、恵山の山すそを片側が山のその道以外にホテルにたどり着くルートが無い漁村の細い道を函館に戻る方向に4キロほど走りホテル「恵風」に着いた。
「恵風」はKELP(でっかい昆布)をもじってつけたのだろう。
このあたりは昆布の産地だ。
途中の細い漁村の道を走っている時は、ホテルとは言っても実際は寂れた温泉宿みたいなものを想像していたのだが、到着してみたら新しくて綺麗な鉄筋コンクリートの立派なホテルだった。
恵山岬の高台にあり、海に下るなだらかなスロープに公園があり、さらに先に白い灯台があった。
振り返って仰ぎ見れば頂上が雲に隠れた恵山が、谷の岩肌を露わに見せて立ち上がってい
る。
恵山は東京から帰る飛行機から何度か見たことがある。
これを見ると北海道に帰って来たと思う。
千歳空港まではいくらもかからない。
ホテルの駐車場が登山道の入り口になっているらしく、下山してきた登山者が停めた車の脇で荷物を降ろしていた。
ホテルの庭には磯舟を利用した足湯があった。
晴れていれば下北半島が見えたはずだが、あいにくなことに曇っていた。
食堂で勧められなければ一生来ることも無かったかも知れないが、来て良かったと思わせてくれる所だった。
何時何分どこそこを出発して、、、などときっちり決められるんじゃなく、パチンコ玉の様にあちこちひっかかりながら旅をしたいものだ。
今日は長万部のカニ祭りでカニ食います。
2013年07月02日18:29
朝、長万部に戻り、かに祭りの会場を下見する。
8時前だったが駐車場はかなり車で埋まっていた。
札幌ナンバーが多い。
キャンピングカーも5台ほど居た。
会場には巨大釜が設えられ、取れたてのカニを茹で上げるようだ。
行列があり何事かと思っているとカニの即売会で並んでいるらしい。
確か10時から販売だから1時間40分も待たなければならない。
しかしせっかく来たのだから待つことにする。
この日は札幌は真夏日だったようだが、道南は上着がなければ寒いほどの曇り空だった。
我々の前にはおよそ200人ほどの人達が居たが、準備万端椅子を持ってきて座っている。
おそらく毎年買いに来ている常連さんなのだろう。
それにしても待っている時間の長いこと。
そのうちぽつりぽつりと雨が降ってくるし、足は痛くなってくるし、退屈だしで「いっそのことあきらめて売店で売っているカニを買おうか?」と話していると後ろのおっさんが売店のカニは2倍くらいの値段だというので待ち続けることにする。
そのうちアナウンスがあってカニは1200杯用意しているという。
一人2組4杯まで買える事になっているから、みんな2組買うとすると我々の所までで800杯は無くなってしまう。
300人程度で無くなってしまうのに我々の後ろには1000人ほどの行列が出来ている。
殆どの人は買えない計算だ。
「ここまで来たら意地でも買って帰るよ。」と純子が寒さで青い顔をしながら言う。
そんな苦労をして8杯のカニを買い発電機を回して冷やしておいた冷蔵庫に放り込み、とって返して会場を散策する。
生蕎麦やカニ飯果物や野菜の出店がある。
俺はカニ飯を食おうと思ったが純子は蕎麦が食いたいというのでカニ飯を一つ買い後で食べることにして蕎麦を注文した。
昨年食べた多度志の蕎麦と違いこちらは蕎麦打ちの同好会が作っているらしく、麺の太さもかなり不揃いで味もたいしたことはない。
でも帰り道トーマル峠の展望台で食べたカニ飯はなかなか美味かった。
純子は帰ってきてから風邪をひいたのか寝込んでしまった。
身体が一番大切だから無理しない方が良かった。
長万部から帰ってきて昭男達とカニを食っていたら昭男が、長万部はカニが捕れないから長万部のカニは他から持ってきていると言うので驚いた。
手稲本町の「漁り火」は夏になると「毛蟹祭り」をやっていて、その毛蟹はママが虎杖浜の漁師と契約していて、その日上がったカニを高速道路を走って帰ってすぐに茹で上げていると言っていた。
(カニは泡を吹くごとに味が落ちるので、出来るだけ早く茹で上げて急速に冷凍してしまわなければならない。)
するとこのカニは何処から来たのだろう、ママは騙されている?と調べてみたら、やはりこれは虎杖浜で捕れた物らしい。
長万部でも毛蟹は捕れるのだが数が少なく、市場には殆ど出てこないらしい。
「漁り火」のママの様に漁師と直接取引出来るルートが無ければ噴火湾の毛蟹は食べられないようだ。
「漁り火」の毛蟹は大きく、身も詰まっていて本当に美味しいのだ。
今回我々が2時間近く並んで手に入れた毛蟹は冷凍物だったから、おそらく道東、下手するとロシアからの輸入物かも知れない。
大釜で煮ていた奴は生だったから地元で捕れた物ではなかろうか。
長万部の国道沿いの店で売っている毛蟹は、昭男の言うとおり地元の物では無さそうだ。
何時も国道五号線を走っていて思うのは廃業してしまった店が多いということ。
これは高速道路が函館まで延びてしまって長万部辺りは単に通過するだけの場所になって金が落ちなくなってしまった為だろう。
同様に帯広に抜ける高速道路が出来て、日高町は車が通らなくなってしまった。
田舎の町では立派な道を造って都会へ行きやすくすることにより若者を地元に引き留めようとするが、若者はその新しい道路を車で走って都会に逃げ出してしまい一層過疎の町になってしまう。
交通が便利になったら田舎が発展するとは限らない。
こういった風に逆に寂れてしまうこともある。
昨年五所川原に行ったら郊外に東京資本の巨大ショッピングモールが出来ていて、大層綺麗でその周辺は田舎町には見えない佇まいになっていたが、古くからある駅前の商店街はシャッターが閉ざされゴーストタウンと化していた。
先日行った苫小牧とかもそんな風になっていたが、こういう状況は日本のあちこちで起こっている現象なのだと思う。
どんな田舎に行ってもイオンがありユニクロ、しまむら、西松屋と、都会と変わらない店が並んでいる。
田舎が田舎らしからぬ様になってゆくのは時代の流れだろう。
田舎の人だって好きで田舎風の暮らしをしていたわけでは無いだろうから、こういう都会の町をそのまま持ってきた場所に足が向かうのは当然だ。
ただこういう本州資本のショッピングモールが出来て、地元に金は落ちるのかなあ。