苫小牧科学センター
旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」が日本にあるのを知らない人が殆どだと思う。
しかも北海道苫小牧市にあるのだ。
TBSの秋山さんが日本人として初めて宇宙を飛んだ例のミールだ。
実際に宇宙を飛んだミールは2001年3月に老朽化のためニュージーランド沖に落下焼却されたが、その予備機が苫小牧市科学センターに展示されているのだ。
もし本機が打ち上げに失敗した場合、この予備機が打ち上げられる予定だったが、幸いにして成功し予備機は不要になった。
従って1986年から15年間宇宙を飛んだ本機と全く同じものなのだ。
旧ソ連の経済危機により売りに出されたミールを日本が買い、最終的に苫小牧市に寄贈されることになったのだ。
俺は「館巡り」が好きで、昨年白老の「本陣」に行った時に置いてあったパンフレットでミールの事を知り、何時か行こうと思っていたのだ。
朝純子に話すと乗り気ではなかった。
午後には知り合いの所で飲む約束があり、しかも我が家の特大土鍋を持ってゆく約束をしていたのだ。
高速を飛ばして苫小牧に行く。
あらかじめネットで地図をプリントアウトしてあったから場所はすぐ分かった。
「ミール館」に入るとミールのコアモジュールと実験モジュール「クヴァント」がドッキングされた状態で展示されている。
でかい!
こんな物が宇宙空間に運ばれたんだ。
案内してくれた館員の人に聞いてみると、日本のHUBロケットでも運べないという。
旧ソ連の科学技術力恐るべし。
内部に入ると至る所にスイッチ類やら埋め込まれている。
トイレもあればトレーニング用の器具もある。
無重力では骨のカルシウムが溶け出すから負荷を与えなければならないのだ。
スイッチ類はロシアの文字で書かれているから何のスイッチなのか分からない。
でも如何にも機械機械していて、何でもパソコン化されている現代と時代の差を感じる。
初めは仕方ないという感じでついてきた純子も興味津々だ。
隣接する科学館には中村要が作った反射望遠鏡が飾られていた。
寄贈札幌市天文同好会とある。
俺が中学校の時に入っていた会で、月に一度今の大通りホテル辺りにあった木造二階建ての古い建物で会合があった。
中村要の名前も反射望遠鏡制作の本で聞いた事はあるが、ずいぶんと草創期の人だと記憶している。
反射望遠鏡の鏡面製作は職人技術で、木辺茂麿とかいう鏡面作りの名人と呼ばれる人たちがいたのだ。
この中村要が作った反射望遠鏡はちゃんとした赤道儀で、極軸と赤緯軸を持っていてウォームアンドホィールというギアの機構で星を滑らかに追尾できる様になっている。
もっともっと見ていたかったのだが時間が無く帰ってきた。
でも純子も又行きたい、プラネタリウムも体験したいと言うので、春になったら穂別の地球体験館とはしごで行くつもりだ。



