S家のビフォー・アフター 1日目

我が家は築25年。その間大きなリフォームもせず、自分で補修をしてきた。せいぜい外壁と屋根の塗装をペンキ屋さんに一度お願いし、昨年ナベちゃんに水周りを新しくしてもらったぐらいだ。
今年の8月に長かったローンも終わり、同じ頃部屋でウンコをたれていた呆け婆さんも、めでたく施設に入所することが決まった。
それでここは一発リフォームしかないと思い立ち、知り合いの大工さんにお願いし、銀行のリフォームローンを組み9月18日に工事を開始した。

9月18日大工さんがやってきた。大工さんは知り合いのこーちゃんと、親方だ。折しも村祭りを数日後に控え、和室に荷物を移動させていたところに、三好家で一室を占領し邪魔だと迫害されているドラムセットを三好ちゃんが持ってくるものだから、足の踏み場も無い状態になってしまった。
この和室は湿気が酷く黴だらけで壁紙も剥がれてきていたので、クロスの張り替えとタンスの床部分をフロアにすることにした。
押し入れは使い辛いのでクローゼットにする。
台所は数日前に純子が塗り替えた。
クロスを貼りに来た兄ちゃんが「うーん、イタリアンですね。」と言っていた。
シャンデリア風の昔流行った居間の照明器具。
打ち合わせの時、リフォーム後もこれを使うと言ったら設計屋が「へー、そうですか。」と言っていた。
物好きな人間だと思ったらしい。
純子が「長年住んでいたから愛着があるでしょう。写真を撮っておきな。」と言うので写真を撮り始めたが、実はさしたる感慨はない。
今は無き婆さんの居室。
そこら辺でウンコ垂れてたから、畳も酷い状態だ。
傘の無い照明を使っていた。当然最初は傘があったのだが、壊れてしまった。
25年使用してきたカーテン。日に焼け変色し繊維もぼろぼろだ。あまりに汚いので一度洗ったら丈が短くなってしまった。
カラーボックスの裏の壁は黒くなっている。
居間と婆さんの和室の天井を剥がす。天井裏にはグラスウールが吹き付けられていて、大工が天井裏を開けて泣いていた。
普通、二階の天井裏には吹きつけるが一階の天井はグラスウールのマットを敷き詰めるらしい。
居間のドア周りは電話や電気の配線が集中している。
二階の床部分。工事の間二階に寝ていたが下の声が筒抜けだった。
大工さんが帰った後電気配線工事を始める。今回電気工事は自分でやることにしたのだ。
なべちゃんが工事の状況を見に来る。今回なべちゃんはトイレの便器の交換工事があるのだ。
家具を避難させた和室はビニールシートで埃が入らぬよう養生をする。
外に大きなゴミ箱が置いてあるのでついでに我が家のいらない物を放り込む。
唯一照明のつく台所で出来合いの物を買ってきて食事をする。
まるで難民キャンプでの生活のようだ。長い難民生活の始まりだ。